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Work No. 1392
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Year: 2012
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 35.5 x 28 cm (14 x 11 in.)
Acquired from Sotheby’s, 2022
「全世界+作品=全世界」とはクリードの言だが、それほどにこの作家の対象範囲は広く底が知れない。クリードの描く絵画は、絵画史の文脈を意識しているには違いないがあくまでエッセンスを抽出して並べているに過ぎないとさえ思える軽妙さを見せる。本作は基本的な色彩である赤、黄色、青、緑、それらの中間色が、虹(と表現するにしてはあまりに雑に)のように重ねられている。ストライプやコンポジションといった色彩の構成を見せようという意図は感じられず、強いて言えば強い横殴りのストロークと色彩の明るさが特徴的であると言えばそうなるだろう。クリードの作品は時にコンセプチュアル・アートともアブジェクト・アートとも評される。両者はジャンルとしては恐ろしく遠い両極端にあるのだが、クリードはその両サイドを容易にカバーしてしまう。本作のような掴みどころのない作品であればあるほどクリードのクリエイティビティのどの一端が表出したのか答えを見つけ出すことは困難である。しかしながら、むしろその困難さを受容して向き合うのがクリード作品の醍醐味であるとも言える。