PixCell [Mandarin Duck]
Year: 2003
Medium: Mixed media : Acrylic box, prism sheet, taxidermy
Dimensions: 25 x 35 x 17 cm (7 7/8 x 13 3/4 x 6 3/4 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2022
ビーズに覆われた「PixCell」は「BEADS」と呼ばれるが、その輻輳的なヴァリエーションとして「PRISM」と称される作品の一点。プリズムシートに覆われたボックス(Cell)の中に、剥製やオブジェを収めた作品だが、本作では、当コレクションが所蔵する2018年の同名のビーズ作品と同じオシドリが使われている。ボックスのどの面から見ても、中のオシドリの姿は偏光プリズムによって分裂したかのようにさまざまな角度の姿が重ね合わせ状態で現れてくる。ボックスに密閉されているため、実在を手で確かめることもできず、目で見ることがオシドリの存在を唯一確かめる手段になるのだが、どう見てもはっきりとは視認できない。虚・実を正しく観測することを阻む、透明で、そして閉鎖的な箱。「PixCell」シリーズがデジタルの概念をベースに置いていることは明らかだが、バイナリ的な存在(ここでは虚・実)をプリズムの効果によって見事に可視化している。オシドリなど、季節性の婚姻色を発現するカモの仲間が、派手な色彩から落ち着いた色合いの羽毛に生え替わる時期をエクリプス(Eclipse=蝕)という。本作でオシドリを題材としている個別の特徴が挙げられるとするならば、本来エクリプスによって循環するはずだった命を永遠に蝕まれることのない彫刻へと、概念上の操作のみによって置き換えて見せたことだ。
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