KOHEI NAWA
名和晃平

PixCell - Deer 40
1975年大阪府生まれ。1998年京都市立芸術大学美術学部彫刻専攻卒業、1999年英国Royal College of Artへ交換留学、2003年京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程彫刻専攻修了、同大学における初の博士号(甲第1号)を取得。自身の作品プロダクションの拠点であり、かつ名和が手がける多角的な活動を柔軟にアウトプットするためのプラットフォームとして、Sandwitch Inc.を主宰する。名和の代表的な作品に『PixCell』シリーズがあるが、Pixel(画素)とCell(細胞)による造語。無数のビーズによって覆い尽くされた動物の剥製やさまざまなオブジェで知られる。彫刻は、彫塑と言われるとおり、何かを彫って造形することと、可塑性を利用して捻り出す行為に大きく分けられる。デュシャンのレディ・メイド以降、現代美術における彫刻はややその範疇を超えていくが、名和の『PixCell』は非接触の彫刻とでも呼ぶべき最も新たな試みだと言えるだろう。視覚認識を光学的に、あるいはテクノロジーの力を借りて捻じ曲げることで、ベースとなる素材(剥製など)の造形そのものには一切の手を加えずとも彫刻が成立するということを極めて現代的な手つきで証明している点に大きな評価が置かれる。その他の作品シリーズにおいても、共通するのは名和の手によって物質に対して直接的な接触がなされないものが多く見られる。彫刻が元来石や木や金属などへの接触が大前提となる形式であることを考えれば、その根幹を揺るがしながら現代的な彫刻の「在り方を問う」ことを企図しているように思われる。彫刻だけではなく、絵画、写真、建築デザイン、舞台演出、プロダクトデザイン、いずれの領域でも突出した活躍を続けている。近年の主な活動に、アートパビリオン「洸庭」、ダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品(2016年〜2021年)、ルーヴル美術館 ピラミッド内にて彫刻作品「Throne」特別展示(2018年)などがある。京都芸術大学大学院美術・工芸領域教授を務める。