White Discharge (Built-up Objects) #48
Year: 2019
Medium: plastic, wood, steel, rubber found objects, pigment, resin
Dimensions: 152 x 113 x 41 cm (59 7/8 x 44 1/2 x 16 1/8 in.)
Acquired from Yumiko Chiba Associates, 2023
金氏が最初期から取り組んでいる代表的シリーズの一つである「White Discharge」。さまざまなオブジェクトを山なりに積み上げ、その上から白い樹脂を流し掛けている。本作では椅子の脚の上にフィギュアやパイプ、さまざまな容器、日用品など全く脈絡のないものが堆く寄せ集められ、まるで城砦か塔のような印象を与える。金氏は彫刻家であるが、自ら石を削ったり木を彫ったりするわけではなく、日用品や工業用品、玩具などの既製品を転用した構成物を彫刻としている。既製品である以上、それらは一つ一つに機能や用途や意味があり、そうした属性こそがそれぞれの存在意義であったはずのものたちである。しかし、金氏はそういった既存の属性を意図的に無視して、作品の中では本来並び合うはずのない物体同士が隣接させられていく。更には白い液体が形すらも覆い隠してしまう。深い雪が道や橋や家を真っ白に覆い尽くして輪郭と境界を曖昧してしまうのに似て、金氏の「White Discharge」では固有の意味と形象が白の中で無効化される。語源的には「Discharge」は満ちていたもの(Charge)が解放されていく(Dis-)という意味を持つ。金氏によって構築された得体の知れないオブジェの集合体から、飽和した属性が流れ出し白い流動体となってドロドロと排出されていく。全てが混ざり合って無に帰してしまいそうな中、所々の隙間から元の姿のままこちらを覗いているものがある。日常の中では目に留まらないようなもの、あるいは意識されないまま放置されているそれらの存在が滅する寸前に光を増すのである。
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