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Untitled
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Year: 2002
Medium: acrylic, acrylic glass, mixed media on canvas
Dimensions: 67.3 x 55.9 cm (26 1/2 x 22 in.)
Acquired from Sotheby’s, 2022
本作はクンストハル・チューリッヒ(スイス)で開催された2006年の個展「ARS NOVA」において展示された。光を主題とした作品が多いライルの作品では、照明や鏡面素材など、物理的な発光や反射を取り込もうとする。本作においても、画面上の大胆な色面に紛れ込むようにして、透明アクリルを砕いた破片が周囲の光を反射している。2006年の個展タイトルはラテン語の新技法、新芸術、といったような意味合いになるが、ルネサンス期前夜の14世紀フランスで発達した音楽理論に由来しているだろう。美術もその時期から大きな人文主義的改革期を迎える。ライルは美術のステレオタイプに抗い、新たな視覚の発見を志向し続けている。「ARS NOVA」とは自らのそうした姿勢を声高に宣言する力強いステートメントであったはずである。