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Untitled
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Year: 2008
Medium: foil on canvas, acrylic box
Dimensions: 142.2 x 121.9 cm (56 x 48 in.)
Acquired from Sotheby's, 2022
本作は青いアクリルボックスに金属製のフォイルが収められている。フォイルは巨大な一枚のシートを引き絞って収縮させたような形状をしており、大きなドレープによって複雑に光を反射している。外部の光を青いボックスが受けて内側に通す時、カラーフィルターのような機能を果たすため、中のフォイルやその表面に反射する外部の様々なものは全てが青く染まって見える。ライルの作品は抽象表現主義的アプローチから、より現在的な思考と工業的な素材によって新たな展開を試みている。そして、壁面から大きく迫り出す物体としての存在感やフォイルの作り出す三次元的に豊かな構造は、それが絵画という制約から離れて、空間的作用を生み出していることは特筆すべき点である。明るい光を受けて青く発光しながら白い壁面に浮き上がる様子には誰もが目を惹きつけられるだろう。不規則かつ偶発的なフォイルの形状は、アクション・ペインティングやチャンス・オペレーションの思想とも響き合う。作家の人為的な行為や意図を超越した形状、単純かつ明快な色彩構成、それらから抽象されてくるものを鑑賞者に問うのである。