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≪胸壁にて≫NO.74
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Year: 1981
Medium: oil on paper
Dimensions: 40.5 x 31 cm (16 x 12 1/4 in.)
Acquired from Galerie Tokyo Humanité, 2022
独学の版画家としてキャリアをスタートさせた加納。シリーズごとに異なる表現を重ねてきた孤高の版画家であるが、1980年を境に油彩の作品を制作している。版画素材としての蜜蝋を研究する過程で油絵具に関心を持ち、油彩を用いた作品へ移行したとされるが、加納の初めて発表された油彩作品が、「胸壁にて」となる。水平に置いた紙やキャンバスに溶いた絵の具を流し、透明フィルムの静電気によって流動させて制作している。本シリーズに共通するのは6箇所の耳、そして色面を分断する白抜きのラインが施されていることである。加納は親交が深かった瀧口修造から受けた影響も大きく、共通点の見られる瀧口のデカルコマニー作品との比較から読み解いても面白いだろう。