MITSUO KANO
加納光於

≪胸壁にて≫NO.74
1933年東京都生まれ。独学。偶然手に取った版画の技法書から、美術の世界に没頭し銅版画の制作を始めた。一時期、とある生物学者の助手を勤めており、初期銅版作品は植物や微生物を題材とした細密な描写が特徴的である。これまで多数のシリーズ作品を展開しており、一貫して版画の素材と技法に関する独自な視点での追求が深い。カラー・インタリオやメタル・プリントなどの従来になかった新しい版画技術によって常に高い評価を得ている。詩人・瀧口修造に早くから見出され多くの影響を受けている。特に瀧口との共著詩画集として知られる『稲妻捕り』で見られる両者のデカルコマニー作品群では、詩的な共感と視覚的な交感が見事に表出している。瀧口の没後、1980年代からは油彩画に移行し版画作品と並行して現在まで幅広い制作を続けている。サンパウロビエンナーレ(1959年の第5回以降、6、7、9回まで)、福岡市美術館個展(1980年)、愛知県美術館個展(1997年、2000年)、神奈川県立近代美術館鎌倉個展(2013年)など国内外での美術館、国際展出品履歴多数。MoMA(NY)、Victoria & Albert Museum(ロンドン)、国立国際美術館(大阪)、東京国立近代美術館、東京都現代美術館などに多くの作品が収蔵されている。