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puddle in the woods 5
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Year: 2010
Medium: acrylic on cotton
Dimensions: 227.3 x 181.8 cm
Acquired from ShugoArts, 2022
「森の中の水たまり」と名付けられたシリーズは、丸山が森を歩いた時の経験をもとに制作された。キャンバスに下地を作らず水を張り、絵の具を画布に染み込ませながら描くステイニングの技法により、木々の幹や枝、木立の空間、土と水たまりは輪郭があいまいになり、点在する色たちが心地よいリズムで画面を彩る。具象と抽象の間(あわい)のような、丸山の特徴的な絵画空間に親しみを覚えるのは、そこに表現された光を、私たちが体験しそれぞれの記憶として内に持っているからかもしれない。2018年に横浜美術館で開催された「モネ それからの100年」展において、モネの視点、絵画表現と響きあう現代のアーティストによる象徴的な作品として出品された。2022年には東京都美術館「眼差しに熱がこぼれる」展においては、鑑賞者が本作の裏面にも回り込むことができる特殊な展示方法が取られ、表に当てられた照明の光を通して色彩が裏からも透けて見えるほど薄い画布を使用していることが示された。このことは、ステイニングという特徴的な技法だけではなく、素材や画布の選定に至るまで考え抜かれた作家の絵画制作への透徹した姿勢を物語っている。