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cartwheel galaxy
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Year: 2022
Medium: acrylic, glitter, glass, spray paint on canvas
Dimensions: 160 cm (63 in.) in diameter
Acquired from rin art association, 2022
円形のキャンバスに、縦横無尽のストロークが激しく重ねられている。近年の鬼頭の代表的なシリーズである「cartwheel galaxy」の一点。これまでの鬼頭作品は原色の色彩が多用されており、基本的な発色が明るく、その明るさがぶつかり合うが故にアンバランスな重みが特徴として見られた。本作は、やや中間色的な淡さを内包している。主に目に入るのは緑色のループするストロークであるが、それもラメの影響かやや白く明るく見える。画面の下地全体に渦巻くような筋が無数に入れられているのはこれまでの作品とも共通しているが、本作においてはより一層その凹凸によって光を深く捉え、画面の中で複雑な乱反射を発生させているように見える。次に画面の複雑なレイヤーのやや中間層に目を向けると、ピンクやオレンジ、水色のさまざまな色彩が画面の奥底へ向かって無限の広がりを与えているのが見えてくる。異なる色彩が並ぶと、相対的に前に突出してくる色と奥へ退行していく色との視覚的な差異が生まれる。本作の特筆すべきはその色彩上の効果を作家が見事に作品内においてコントロールしていると思われる点である。空間を色彩によって創出するのである。作家が絵画によって空間性に言及するというのならば、本作が矩形のキャンバスではなく円形であることも、加速度的に広がり続けているとされる宇宙空間との関連性を思わせずにはおかない。