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波は打ちよせる
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Year: 1978
Medium: enamel on paper
Dimensions: 27.2 x 24.2 cm (9 1/2 x 9 1/2 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2022
色紙にエナメル・スプレーペイントを施したシリーズで、1978年前後に多数制作されている。この年、草間は初の小説『マンハッタン自殺未遂常習犯』を出版している。当時パートナーであったジョゼフ・コーネルと死別し、草間自身も心身に問題を抱えて日本へ戻り入院生活にあった。それまでNYにおいてハプニングの女王とまで呼ばれた活躍の日々から大きな転換点を迎えていた時期でもある。すでに「無限の網 / Infinity Nets」シリーズにおいて画家として一定の評価を獲得していた草間だが、草間の代名詞的な網のモチーフを発展させたものとして本作のスプレーペイントのシリーズがある。網目を通して画面に定着した3色が幻視的に折り重なり、小さな作品ながらも草間の脳裏にある広大なヴィジョンが描き出されている。草間の網がなぜ「無限の」と冠されているのかの理由の一端が窺い知れるだろう。