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Frog 3
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Year: 2025
Medium: Mixed media : glass, taxidermy
Dimensions: 11.2 x 12.9 x 12.9 cm (4 3/8 x 5 1/8 x 5 1/8 in.)
Acquired from SCAI THE BATHHOUSE, 2025
名和がこれまで制作してきた「PixCell」のコンセプトを継承するものであることは明らかだが、本作では特徴的な透明ビーズによる剥製の被覆はなされていない。あたかも生きたままのような瑞々しい体色を保っているカエルの姿がそこにある。これまでの「PixCell」シリーズでは無数のビーズに覆われた剥製や物体は、まさしくピクセル化されて本来の姿形を鑑賞者の目に晒すことはなかった。そこに確実にあるにもかかわらず視認することができない、という不確定性の彫刻がこれまでの「PixCell」であったと仮定するなら、本作においてはその不確定性を脱して、確定的な唯一性を明示するための彫刻へと大きな転回が起きている。「PixCell」は、そのものがあらかじめ持ち得ていた形態的個別性をビーズを用いたピクセル化によって阻害し、匿名性あるいは抽象性を付与し、その個別性の内奥にあるある種のアーキタイプの表出へと向かっていたはずである。ここに置かれたカエルが自然の生命体である以上、帰属する種としての基本型はあった上で、個体差によって唯一性を示すだろう。本作の発表時にはシリーズとして3体のカエルが並べられ、それぞれが個体差を明示するようにポージングに差異が与えられた。これまでは透明性によって光を拡散し、その内部を秘匿するための機能として扱われていたビーズだが、本作においてそれはドームへと変わり、その内部に置かれたものの個別性を明示し保護するための透明性として与え直されている。