Year: 2021
Medium: acrylic and resin on panel
Dimensions: 90 cm (35 1/2 in.) in diameter
Acquired from MEET YOUR ART, 2022
タイトルからすると水鏡を意味するが、作品自体は明鏡止水というわけでもなさそうである。艶やかに絞り出された絵具で、水が迸る様子が描かれている。夜の水辺だろうか。下地に見える暗く深い色彩が闇を思わせる。モーリス・ラヴェルの「水の戯れ」の譜面にはアンリ・ドゥ・レニエの詩句『Dieu fluvial riant de l’eau qui le chatouille(くすぐる水に笑う河の神)』が付されている。高山の作品は、鏡のように凪いだ水面よりも、水が戯れる様子が良く似合う。暗い夜であっても、波が立てばそこに星や月の光が跳ねる。いずれにしても、水面に目を落とすのは、今まさに本作と正対している私たち自身である。水面を眺めるという行為自体は、西洋絵画ではナルキッソスなどの自己陶酔を暗に示唆する。ならば現代において、この水鏡に何を見出すべきだろうか。