Decomposition
Year: 2024
Medium: European modernist sewing box, 3 LED lights illuminated by fruits
Dimensions: 57 x 44 x 33 cm (22 1/2 x 17 3/8 x 13 in.)
Acquired from Mother’s Tankstation, 2024
「Decomposition」(分解)とタイトルが付けられている。古い脚付き裁縫箱の上には果物が置かれており、箱の下には電球がぶら下がっている。果物にはそれぞれ電極が差し込まれ、下部の電球は明滅を繰り返しており、果物と電気の灯りに何らかの相関関係があることを想像させる。果物類は水分を多く含むため電気を通すが、その電気抵抗を利用すると水分量を計測することが可能となる。毛利はその原理を利用して果物によって音波や電気信号を発生させているのである。「Decomposition」とは腐敗や分解を意味している通り、本作においてもまた、そこに置かれている果物は微生物の活動に奪われて内部の水分を減らしながらゆっくりと腐敗という死へと向かっていく。それは自然の摂理であり不可逆な現象であるが、ただ朽ち果てていくに任せるしかないこの時間軸に対して思いがけない介入を毛利は行うのである。絵画では静物(still life)の代表的なモチーフであるように、果物は動かないものとして認識されているが、分解の過程においては先述のとおり水分量は常に変化し、それに伴って重量や容積の減衰、形状や色素の変化、カビや溶解を伴うなど有機的な生命活動を静かながらも維持し続けている。私たち人間には知覚しにくいそのささやかな変化を増幅し、可視・可聴できる帯域へと転じせしめることが「Decomposition」という作品である。同様の作品が2024年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館において発表されている。
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