Year: 2014
Medium: oil on canvas
Dimensions: 145.5 x 89.4 cm (57 1/4 x 35 1/4 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2024
まるで一幅の山水画を思わせる。今津の絵画を特徴づける流動的なストロークが色彩と形象を大いに撹乱しつつも、断片的に具象性を保っている樹木や鳥や岩肌のそれは雄大な山の景観を描いた絵画を確かに想像させる。今津はインターネット上で収集したイメージを画像編集ソフトを使って合成し、描画を加えて下図を作成している。今津の描く筆致はいかにも即興的に見えるが、実は下図の段階ですでに完成されている。今津の特筆すべき才覚は、デジタルで作られた下図を油彩画として精密に描き切る高い技術だけでなく、下図に見られる「イメージの崩し方」の方にあるだろう。本作では、タイトルから察するに多くの山の風景を集めたものに違いないが、複数のイメージが複合しつつ大半が地滑りを起こしたように乱されていることによって極めて複雑な非形象に至っている。それによって画面はほぼ抽象表現的な前景を様しているといって良いが、この抽象化の過程に今津の極めて鋭敏な目が介在している。この絵画を見て大なり小なり山の景色を想起しない観衆はいないであろうことが示すのは、つまり、集められた数多の「Image of Mt.」から抽象された「Image of Mt.」としての類型を今津は描き出しているということだ。今津の目は、複合するイメージの抽象化と類型化の双方向から絵画的視覚を提示するのである。