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untitled
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Year: 2020
Medium: oil on canvas
Dimensions: 118.5 x 53 cm (46 5/8 x 20 7/8 in.)
Acquired from a private collection, 2024
加藤の絵画は時折2枚のキャンバスを接合して、ひと繋がりの図像が物理的・視覚的に分断されていることがある。本作では2枚のキャンバスを縦方向に2枚繋いだ細長い画面となっている。人物が一人描かれており、その上半身と下半身がそれぞれのキャンバスにはっきりと分たれている。上半身は明るい水色を背景に色とりどりの斑紋のある肌を露出している。下半身は鮮やかな赤、背景はグレーになっている。加藤が「人がた」と呼んで描き続けてきたこの人のような形をしたものは、著しい二面性を内包する。時に「胎児のような」などとも評される加藤の「人がた」だが、確かに幼児的なフォルムをしており愛らしい造形である。一方でその未発達な肢体にみなぎる力や精神性には幼児のそれとは異なるまるで未知の存在に対峙するような畏れを誘う。強引に継ぎ接ぎされたようなちぐはぐな体は、生命の進化や変態の神秘性を示唆しつつも、禁忌に触れてしまったような背徳性が同時にある。色彩もおそらくそれのみを取り上げたポップな明るさと華やかさを持っているだろう。しかしそれが用いられている図像は本来その色を期待されるものではないがゆえに毒を含んだ警戒色のようにすら見える。あらゆる二面、両極が一枚の絵に表れている。