Year: 2023
Medium: Vinyl adhesive, acrylic, sumi, graphite pencil, Japanese paper, cotton, plywood board
Dimensions: 50 x 20.3 x 2 cm (19 5/8 x 8 x 3/4 in.)
Acquired from TARO NASU, 2024
白い円が上方に、紫と黒の円が下方にそれぞれあり、やや離れた両者を繋ぐようにして黒い墨が一筋流れ落ちている。白い円は和紙を切り抜いて作られており、墨の黒が滲んでいる。紫の円は松谷の特徴的な素材でもあるビニール系接着剤(ボンド)を用いて形成されている。キャンバスの上に流し込んだボンドの皮膜の中に、ストローで息を吹き込む。まるで火脹れのように腫れ上がる艶やかなボンドの皮膜はどことなく肉感的で、官能性を感じさせるといわれる所以だ。本作においても、松谷の呼気によって命を与えられるように膨張した皮膜が、やがて萎びて重力によって柔らかく垂れ下がっていく様子が想像される。また、一筋の墨の有機的な線が、その重力の作用をより強調している。