Night Stand for Soul Sister
Year: 2013
Medium: wood, tar, book
Dimensions: 55.9 × 58.4 × 35.6 cm (22 x 23 x 14 in.) Book: 17.5 × 10.5 × 1.8 cm (6 7/8 x 4 1/8 x 3/4 in.)
Acquired from New Auction, 2023
ゲイツの父は生前、シカゴのタール屋根職人として働いた。本作品でも白い木製の棚(Nightstand)を真っ黒に塗り込めているこのタールという素材は、ゲイツにとってはかけがえのない父を、そして、故郷のアフリカ系アメリカ人たちを取り巻く社会構造の歪みを象徴するものだ。一冊の本がこの黒塗りの棚に据えられている。1863年の奴隷解放宣言の後100年、依然アメリカの社会問題であり続けた人種差別問題は1950年代から1960年代にかけての公民権運動となって激しく再燃した。元ホワイトハウス職員だったジャーナリスト、グレース・ハルセルによる著作『Soul Sister』はそうした大きな社会のうねりの中1969年に出版された。ハルセルは白人であり女性であるが、彼女は薬を使って肌を黒ずませて黒人社会に単身潜り込んだ体験を本書でレポートし、人種による格差の是非を広く世に問うた。1973年生まれのゲイツは、親世代のそうした苛烈な現実との戦いを身近に育った。本作において何重にも重ねられている白と黒の対比の奥に透けて見えてくるアメリカ社会の歴史は、アート・アクティビストとして黒人社会の改善を数々のプロジェクトで実践しているゲイツにとって、それが過ぎ去った事ではなく他ならぬ自身の現在にまで直結する問題であることを強く訴えてくる。
© UESHIMA MUSEUM COLLECTION
本サイトに掲載されているデータは著作権の保護の対象となります。無許可での転載・転用はご遠慮ください。 Any materials on this website are protected by the copyright law. No reproduction without permission allowed.