Year: 2020
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 210 x 240 cm (82 5/8 x 94 1/2 in.)
Acquired from Gallery 1957, 2023
キャンバス2枚からなる大きな画面に、アパーの特徴的なロイヤル・ブルーで穏やかな水面を描いている。暗緑色の草地に白い花が夜空の星のように見える。タバコを咥えながら堂々と立つ男性と、水面に背を浸して寝そべる女性、青い水と赤く燃える空との水平線に浮かび上がる白いヨット。弓形に画面を切り分けている一本の木の奥に、もう一人の人物が佇んでいるのが見える。タイトルから想像されるのは、セザンヌやマティス、ピカソらの時代に多く描かれた水浴の画題との共通性である。男性像の頭部はスーラの有名な「Bathers at Asnières(アニエールの水浴)」(1884年)を思わせる横顔だ。三角に大きく歪んだ風景の構図はセザンヌの「The Large Bathers(大水浴図)」(1905年)の逆像とも見える。色彩の強さや人物の造形やアパーがよく言われるようにフォーヴのマティスを思わせる描写が特徴的に現れているだろう。アパーは、ブラック・アフリカ最初の独立国ガーナが脱植民地主義の風土において醸成してきたものを自らの文化的バックグラウンドと自認しているはずである。アパーの作品は、1950年代〜80年代にかけて、つまり国の発展・改革期に頒布された映画や新聞からイメージを抽出して描かれている。本作の元になったものが映画の一場面なのか報道写真なのかは明らかにされないが、西洋絵画の歴史において多く描かれてきた画題にそれらを重ねるという点については明確な意思を持って描かれていることだろう。