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明日の虹 / Tomorrow’s Rainbow
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Year: 2020
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 60.6 x 72.7 cm (23 7/8 x 28 5/8 in.)
Acquired from NADiff, 2023
車輪のついた土台の上に二軒の家が並んでいる。幼児用のドールハウスのように見える。青い屋根のある茶色い家と赤い屋根のある白い家が寄り添うようにして描かれていることは、これまで近藤が度々描いてきた多様性や協調性を表しているだろう。大きな虹が両者を包み込むように掛かっており、赤い屋根の家の窓からはもう一本の虹が出ている。虹はおおよその国で吉兆とされてきた。旧約聖書では大洪水の後神がノア(人類)と交わした契約の証として最初の虹が現れる。自然界での虹は、ニュートンによって7色に定義されて以降、一般的には外から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の順に並んでいるとされる。本作ではその色の並びがなぜか異なっている。近藤の描くこの歪な虹は、いかにも生きる喜びを主題とする近藤の絵画らしい。あまねく人間にとっては契約の証なのだから、理想的な虹とは明日の幸せを約束するものだとしよう。一方で近藤の虹は、明日の幸せを自らの力で掴み取る人の背中を押すために現れる。近藤は生きる苦しみを誰かと分かち合い、支え合い、そして乗り越え、喜びに変えていく力を描いている。虹が幸せを呼ぶという迷信に、ただ無邪気に縋ることはないだろう。