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探索の果てに / The End of the Search
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Year: 2009
Medium: oil on canvas
Dimensions: 97 x 145.5 cm (38 1/4 × 57 1/4 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2023
今津の比較的活動初期にあたる2008年の作品。今津は、雑誌やネット上から拾い集めたさまざまなイメージの断片を絵画の構成元にしているため、画面内のパースやスケール、解像度が描かれるモチーフ毎に異なっていることが多い。本作ではその特徴がよく表れている。画面中央から右半分あたりに展開されている夥しい鳥の群れにまず視線が向くだろうか、様々な種類の鳥が枯れた木立に群がっている様子は非現実的な印象を強くしているが、仮にこれが現実ならば猛禽と彼らを天敵とする小鳥たちが落ち着いた様子で居並ぶことはないだろう。画面の中で最も強い光が目を引く人物たちの周囲は、そこだけがコントラストが強調されており彼らを取り巻く空間が深い暗闇であることを思わせる。人物と比較すると、鳥たちは皆巨大に描かれているのが分かる。よく見ると、奥行きがまるで感じられず、まるで舞台の書割のようにも見える。奥に広がる明るい夜景か光る水面のような風景、青く暗がりに沈む歪んだ建物は、この奇妙な世界をさらに未知のものに感じさせる。タイトルからすると探索中であるはずの彼らの表情は読み取れないが、突如闇に浮かび上がったこの異様な景色との遭遇にさぞ驚嘆したに違いないと、彼らの小さな冒険を想像してしまう。今津らしい、豊かな創造性に触れた作品であると言える。