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THE SPIRIT OF THE THINKING
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Year: 2022
Medium: oil on canvas
Dimensions: 112 x 194 cm (44 x 76 3/8 in.)
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2023
雑多に並べられたたくさんのオブジェクトの間を色とりどりの光が巡って、不思議なグラデーションを作り出している。日常的とは言えない過度な光色や、無関係のものが散乱している様子からは、ひっくり返した玩具箱のような混沌が感じられる。しかし、この無秩序の中に生じた奇跡的な均整を見つけ出すことができるのが伊藤という画家である。中央に置かれた腕組みをする不思議な生き物の像は赤、オレンジ、紫、ピンクの複雑な光を全身に纏って佇んでいる。タイトルから察するなら、伊藤にとって彼は思索を司る何者かなのだろうか? 光と影の偶然によって、にやけ顔で戯けるような仕草でさえ思索に耽る賢人の姿に見えてくる。伊藤は、絵画を描くにあたって、まず実際にその光景をジオラマとして構成し、そのジオラマをさまざまなアングルで撮影する。そうして得られた写真を下図として絵画を描いていくという、「フォト・ドローイング」と伊藤が呼んでいる制作手法を辿っている。目とカメラの差異においてこそ、奇跡的な均整の発見は起こる。ファインダーという限られた視野を通してみるジオラマは、おそらく伊藤の目にはそのように映らない。小さくなってジオラマの世界に入って見てきたような、肉眼では辿り着きようのない構図はそのようにして得られる。伊藤の脳内に広がる幻想がジオラマとなって現実空間に取り出されてきた時、事実に対して偽りなく感応するカメラは、伊藤の網膜に成り変わってこの非現実的な光景を現実のものとして受容する。伊藤はそうして得られた写真を通して自らの幻想を対象化し、空間と物質を備えた現実として描いている。