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Ankor Sunburst
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Year: 2009
Medium: oil on canvas
Dimensions: 184.6 x 122.3 cm (72 5/8 x 48 1/8 in.)
Acquired from Sotheby’s, 2023
本作は「Iris」シリーズの最初期個展(Mary Boone Gallery, NY)で同時に発表され、この天体と人体とを繋ぐ円形のモチーフはその後「Anthropocene」シリーズにも継承されていくその契機となった重要な作品の一点と言える。「Iris」シリーズは人間の虹彩を巨大な円形キャンバスに描き出したものだが、人体的なスケールにおいてはわずか直径10ミリ程度のものがクインの絵画では2000ミリ程度まで拡大される。スケールが大きく変じることによって違ったものが見えてくることは多々ある。クインは虹彩という身体の小さなパーツをより大きな宇宙のスケールにまで結びつけていく。「Iris」とはギリシア神話の虹の女神の名である通り、語源的には虹を意味する。本作はアンコール遺跡の一角を成すバイヨン寺院の空を題材としている。目の眩むような太陽を中心に広がった見事な二重の日暈がフォトリアリスティックに描かれている。「Iris」と対比されるように展示されたこの作品は、人体の虹彩、そしてその中央にある瞳孔が暗い穴を示すのと対比的に、太陽光と大気によって起こされる稀な自然現象、その中央にある恒星の圧倒的な光、という両者のスケールと陰陽の対比的関係性を示すとともに、クインの想像領域の広大さを示唆するものだ。