Year: 2021
Medium: oil on canvas
Dimensions: 112 x 145.5 cm (44 x 57 1/4 in.)
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2023
木漏れ日の明るい緑色が、対比的な赤い服を着たこどもを柔らかく包む。その傍には、ぬいぐるみのような犬が見守る。ぼんやりとした表情を浮かべながら、幼子は今にも眠りに落ちそうな心地よい微睡の時間を漂っているようだ。小脇には水色の愛らしい仔猫を抱えている。ルーブル美術館に所蔵されているカール・ラーションによる「Jeune femme allongée sur un banc」という作品(1913年)がある。タイトルの通り、若い女性が木陰のデイ・ベッドに心地良さそうに横たわる様子を描いたもので、傍には茶色い耳の長い小型犬が寄り添い、白黒の猫を腕に抱きながら、女性は穏やかな時間を過ごしている。長井がこの作品を知っているかどうかは定かではないが、幸せの構図とは案外普遍的なものがあるのかもしれない。長井らしい愛らしい世界観はそのままに、本作では長井の夢想の中へ引き込むよりも、むしろ鑑賞者の日常や記憶の中のふとした美しいひとときを呼び覚ますようだ。