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Drowsiness
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Year: 2022
Medium: oil on linen
Dimensions: 194 x 162 cm (76 5/8 x 63 3/4 in.)
Acquired from ANOMALY, 2022
眠気:Drowsinessと題された絵画。今津らしくさまざまなモチーフが混然一体となって絵画が構成され、それらモチーフが連鎖的に何かを示唆しているように感じられる。大きな花弁、海獣類、樹木、髑髏、魚、東洋的な人魚像、女性像、大きな腕、いずれもお互いに関連があるようでもあり、夢の中の取り留めのなさのようでもある。今津は神話を題材に取ることが多い。大きく描かれた花がアネモネだとすると、ギリシャ神話では死と悲恋の象徴になる。髑髏は言わずもがな、絵画では死の象徴として読める。眠りを司るのはヒュプノスだが、共にニュクス(夜)を母とするその兄弟神には死を司るタナトスやモロスがおり、眠りとはすなわち死の世界と繋がっている。ウィリアム・ブレイクの挿絵で有名なダンテの『神曲』でも、深い眠りに落ちたダンテは夢うつつのまま天使ルチアに導かれて煉獄への門に至るのである。眠りに落ちる、という修辞に従って本作を見れば、清らかな水に揺蕩うような眠りの安らかさと、暗く深い冥界に落下していくような恐ろしさが重なって見えてくる。