猫と鼠 - 爪 | 猫と鼠 - 舌 / cat and mouse - nail | cat and mouse - tongue
Year: 2001
Medium: paint on wood(camphor tree)
Dimensions: 150 × 46 × 24 cm | 152 × 30 × 37 cm (59 x 18 1/8 x 9 1/2 in. | 59 7/8 x 11 7/8 x 14 1/2 in.)
Acquired from New Auction, 2022
棚田の作品は一木造で制作される。別々の木材から作る各パーツを組み合わせることで造形的な自由度が高い寄木造とは異なり、一本の木材の体積を超えられないという制約がある以上、必然的に造形上の制限は厳しいものとなる。本作もそうだが、棚田の彫刻が華奢な人体を垂直方向に伸びやかに表現する特徴があることは、それと無関係ではないだろう。本作において、その全体的になだらかで未発達な細い身体性が優美に表現されている。二人の少年が阿吽のようにそれぞれ違った趣の表情を浮かべている。「爪」と名付けられた一方はその細い腕の先はまるで杭のように尖った造形にデフォルメされた上で水色に着彩されている。一方の「舌」では同じく水色に彩られた舌を前方に突き出している。鉈彫と呼ばれる彫り跡をあえて紋様のように残す表現が赤い下半身や頭髪から首、脇腹あたりの一部に用いられているが、上半身の大部分はなめらかな肌理で仕上げられているが故にその部分的な荒さがかえって作品の生々しさを強めている。腕を左右方向にやや広げつつ、ゆるやかなコントラポストを見せる「爪」に対し、腰から上を前屈させ、両の腕と舌先を前方に向けている「舌」、という両者のポージングの違いは、陰と陽、静と動といった対比関係を明らかに示している。本作は2012年に練馬区美術館で開催された個展「たちのぼる。」において展示された。
© UESHIMA MUSEUM COLLECTION
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