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Direction
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Year: 2014
Medium: paint on canvas
Dimensions: 120 x 160 cm (47 1/4 x 63 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2022
名和の平面作品の代表的シリーズとなっている「Direction」。15度(1時方向へ)傾けて壁面に設置したキャンバスに、インクを流しかけて作られる。定規や機械によらずとも歪みなく引かれた平行線は、重力という普遍的な力を可視化するものだ。しかし、15度の傾斜によってそれが重力によって得られた線であることが巧妙に隠されている。制作時には重力の表象として垂直に落ちていた線が、完成作品を壁面に設置する際には15度(11時方向)傾斜することになるためである。画面を注視すると流しかけるインクの量や偶然によってわずかな不規則性が表れているのがわかるが、その不規則性が結局は垂直という極めて強い指向性に隷属する範囲内でしかないことが、かえって重力という抗い難い力の凄まじさを伝えている。本作はシリーズの中でも珍しい銀色の下地の上で制作されていることが、際立って目を引く。
