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Untitled
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Year: 2011
Medium: acrylic on canvas
Dimensions: 130 x 130 cm (51 1/8 x 51 1/8 in.)
Acquired from Phillips, 2022
正方形のキャンバス一杯に鮮やかな赤、ピンクの花々が広がり、中央には緑のワンピースを纏った少女が裸足で佇んでいる。この赤と緑の鮮やかな対比によって、瞳を大きく見開いたやや不機嫌な少女の表情に視線が誘導される。背景は寒色を中心として、明るく伸びやかな筆致(おそらくは指によって)が重ねられている。全体を俯瞰したのちに改めて赤い花冠と思われた部分を注視してみると、朗らかな風景から一転して恐ろしげな髑髏が花畑の無数に潜んでいることが分かる。青い線で花影に隠れるようにして描かれている髑髏は、少女を囲んで脅かそうとも歓迎しているようにも見える。少女の何とも量りにくい表情に象徴されているように、ロッカクの絵画は華やかなようでいて、時折毒と影を見せる。さしずめ少女はFemme fataleともEnfant terribleとも。純粋で無垢なものほど実は空恐ろしい。