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Prospect Park Theater
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Year: 1977
Medium: Gelatin silver print
Dimensions: 41.9 x 54 cm (16 1/2 x 21 1/4 in.)
Edition: No.15 of 25
Acquired from PHILLIPS, 2022
杉本博司の「劇場」と呼ばれるシリーズの一点。写真は、フィルムを露光させる時間が長ければ長いほど明るくなる。本作品はタイトルの通り、映画館の内部を撮影したものだ。しかし、肝心のスクリーンには何の映画も映し出されていない。ただ真っ白なスクリーンが煌々と暗がりに浮かんでいる様子は、我々が知る映画館のそれとは異なっている。「劇場」シリーズにおいて杉本は世界各地の映画館に赴き一本の映画の始まりから終わりまでの時間、シャッターを開放して撮影した。数時間の映画一本分の光景が凝集され、光の塊となって写し出されている。写真は映像ではないため、本来ならばごく瞬間的に世界を切り取るのみであって、そこに時間を記録することは難しい。杉本は映画館=空間と、映画=光と、その両者の時間の全てをたった一枚の写真に収めてみせた。一見、極めて静的でありながら、その実、恐ろしく動的な映像的写真である。