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Palais Garnier, Paris
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Year: 2019
Medium: gelatin silver print
Dimensions: 61 x 50.8 cm (24 x 20 in.)
Edition: No.8 of 25
Acquired from Gallery Koyanagi, 2022
杉本の劇場のシリーズの中で、特にオペラハウスを撮った一連のものが「オペラ劇場」と呼ばれる。本作はタイトルにある通り、パリの「パレ・ガルニエ」を写している。ナポレオン三世の時代にシャルル・ガルニエの設計によって建てられた現代でも現役のオペラ座であり、パリで最も重要な建築物の一つ。ミュージカル「オペラ座の怪人」の舞台としても知られる。ミュージカルではスリリングな落下シーンがある大シャンデリアのほか、ネオ・バロック様式の絢爛な装飾が施されたヨーロッパ最大級の劇場空間は圧巻である。1965年にはシャガールによる天井画が加えられ、それまで天井を飾っていたジュール・ウジェーヌ=ルヌヴー作によるものは模写がオルセー美術館で見られる。本作では大判フィルムの圧倒的な解像度によって写された劇場内部の様子が克明に見て取れる。「劇場」シリーズの最大の特徴である長時間露光によって、舞台上には演者も装置もなくまばゆい光だけが捉えられている。本劇場の長い歴史の堆積をひとえに可視化しているように思われる。