Year: 2015
Medium: Mirrored glass, stainless steel
Dimensions: 130 x 150 x 100 cm (51 1/8 x 59 x 39 3/8 in.)
Acquired from Kukje Gallery, 2023
本作は天井からワイヤーで吊り下げ、中空に展示される。作品を構成するガラスの球体は鏡面になっており、タイトルにあるように濃淡のピンクで着色されている。丸い鏡面は周囲の景色を全方向的に写し取り、そしてそれは鑑賞者の視点の移動に応じて目まぐるしく変化する。多重の円環で構成されているように見えるが、紐解けば一本の線になる構造になっている。本作は2022年Sema - Buk-Seoul Museum of Art(ソウル市立北ソウル美術館)での大規模な個展「Treasure Gardens」において展示された。過去にも蓮を題材とした多くの作品を発表しているが、この展覧会においてオトニエルは特に庭園や花への高い関心を表現し、美術館の蓮池には睡蓮を模したビーズ作品のインスタレーションが配された。朝に開き午後には閉じることを繰り返す蓮の花は、オトニエルにとって生と死を繰り返す輪廻のメタファーである。オトニエルが輪廻を念頭において一つなぎの円環構造を作品に用いることに東洋人としての私たちは自ずと数珠を連想するだろう。数珠は祈りを数えるためにある。これは祈りと輪廻の表象としての蓮なのである。オトニエルの作品には、西洋美術におけるガラス・鏡や円環といった要素の持つ意味性に加えて、仏教を含む東洋的な死生観への深い理解が示されている。
Photo by Chunho An, Image provided by Kukje Gallery