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熱いアスファルトにねころがるのも好きだったけれど / I Also Liked Lying Down on the Hot Pavement
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Year: 2018
Medium: oil on canvas
Dimensions: 227.8 x 181.8 cm (89 3/4 x 51 5/8 in.)
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2022
実に工藤らしい、動植物と人物の複雑な組み合わせで画面全体が構成されている。大きな植物のまとまりが四方を取り囲むその中央に、二等辺三角形のような構図で人物と動物が描かれている。猫と寝そべる少女、ライオンに添い寝する少年、デイベッドに気だるく横たわる少女、ヒョウ、奥に堂々と仁王立ちする少女、それらは奥行きよりもピラミッドのような階層構造を想像させる不思議な空間になっている。画面下方の見えないエリアから大きく枝葉を広げている植物が果たして前景なのか下方なのかを曖昧にし、その装飾的な描画によって絵画の遠近感を迷走させている。タイトルから察するにアスファルトの地面であるはずの灰青色の背景が空にも見え、モチーフが中空に浮遊しているようにも見える。動物や人物の瞳が時折真っ直ぐにこちらに向けられていることも本作に相対する鑑賞者に奥行きよりも正面性を強く感じさせる。画面左肩に描かれている、こっそり逃げ出すような人物の存在感の希薄な様子は、中央に立つ生気溢れる人物とはあまりにも対称的に描かれている。本来は小さな雑草だろうと思われる植物も、実際に人よりも大きく成長するウチワサボテンなどと同じようなボリュームで巨大に描かれている。ひょっとして横たわる人物が見た夢現の幻なのではないか、と思わせる不条理で読み解けない世界に興味が尽きない。