MAKIKO KUDO
工藤麻紀子
1978年青森県生まれ。2002年、女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻を卒業。初期においてはフォーヴィズムを参照したような強い色彩と激しい筆致で光を捉える作風、その後も現在に至るまで若干のニュアンスを変えながらもポスト印象派の時代の作家と問題意識を通じているような表現が多く見られる。幼少期の個人的な記憶、漫画やアニメからの影響、そしてモダニスム絵画への憧憬、それらを内省的なイメージへと醸成していくのが工藤の絵画である。物憂げな表情の少年少女、装飾的に構成された草花、風景に溶け込みつつも強い存在感を示す動物たち。それらは非常に断片的な要素として画面を複雑に構成しているが、それらをなめらかに繋いでいるのは工藤の内観的視点であり、それは他者へと広く開かれたものとは言いがたい。関西ニュー・ウェイヴやスーパーフラットの後の世代にあたる工藤ら1960~70年代生まれの一部の作家たちが90年代後半から00年代にかけて、個人主義的ながらもささやかな時代的共感性を伴った作品を発表していたことを「マイクロポップ」的と指摘し、ある種の美術動向の萌芽としての見方を提唱したのは批評家の松井みどりだったが、工藤はその代表的な作家の一人として日本現代美術史の主要な位置にあると目される作家である。2022年に平塚市美術館にて大規模な個展を開催、松井みどりキュレーションによる「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」では、原美術館(東京)、ケルン日本文化会館(ドイツ)、トロント日本文化センター(カナダ)、2010/Galeri’a Arnold Belkin: Museo Universitario del Chopo、メキシコ国自治大学付属チョポ美術館(メキシコ)、その他世界30カ国44会場を巡回した。他にも国内外のグループ展や国際展への参加多数。ロサンゼルス現代美術館(US)、UCバークレー美術館パシフィックフィルムアーカイブ(US)、フォートワース近代美術館(US)、ダートマス大学付属フッド美術館(US)、アルスター国立博物館(UK)、国際交流基金(東京)などに作品が収蔵されている。