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Untitled
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Year: 1984
Medium: oil on canvas
Dimensions: 162 × 130 cm (36 3/ 4 × 51 1/4 in.)
Acquired from Sotheby's, 2022
本作は、一般的なフリズのティピカルなイメージとは異なり、ストロークでもストライプでもなく、一見ランダムな色面の重なりで構成されている。しかし、フリズである。この無秩序に思える作品の中にも規則があり、何らかの制約を課しているはずである。色彩と構図に何かロジックがあるのだろうか、それとも色を重ねる順序に法則があるのか、いや、もっと目につかない部分でルールがあるのかもしれない。この色彩の無軌道な重なりに目が慣れきった頃に、ようやく奥底に人物や動物の姿が浮かび上がってくる。作家が意図してその具象性を秘匿しているとしか思えない。闇雲にこの絵画が描かれているわけはなく、フリズの目には明らかにそこにあったはずの具象性を鑑賞者がまるで見出せないとするならば、それはもはや芸術表現として超常の域に達していることの証左ではないだろうか。