United Nations
Year: 1997
Medium: gelatin silver print
Dimensions: sheet size: 58.5 x 47 cm (23 1⁄2 x 18 1⁄2 in.) frame size: 78 x 60.3 cm (30 3⁄4 x 23 3⁄4 in.)
Edition: No. 20 of 25
Acquired from Sotheby’s, 2022
杉本の「建築」シリーズの一点。本作ではタイトルにある通り、NYに建つ国際連合本部ビルを撮っている。戦勝国各国を代表する建築家を集めたチームによって設計案に取り組み、最終的にはフランスのル・コルビュジェとブラジルのオスカー・ニーマイヤーのプランの折衷案を骨子として委員長であるアメリカのウォレス・ハリソンが現行の建築設計に取りまとめたものだ。薄板型に聳える特徴的な外観に加えて、コルビュジェの原案では地上界は彼の得意としたピロティが設けられ中空の浮き上がるような構造が草案されてた。ハリソンによって大きく計画を変更されたことでこのコルビュジェ案は実現せず、ハリソンとコルビュジェの間に軋轢を生んだとされる。杉本の「建築」シリーズは、著名なモダニスム建築をわざと焦点をぼかして撮影している。杉本曰く、建築物とは現実との妥協によって、設計者の当初抱いたイメージとは異なったものとして実現するのである。コルビュジェやニーマイヤーの理想は確かに完全な形では達成されなかった。しかし、その秘められた思想は現実の建築物の中に精神として宿っているはずである。杉本はあえて建築物の堅牢な外殻をぼかすことによってその建築の中で仮死している建築家の理想を蘇生し、写真として具現化しようとしているのである。
© UESHIMA MUSEUM COLLECTION
本サイトに掲載されているデータは著作権の保護の対象となります。無許可での転載・転用はご遠慮ください。 Any materials on this website are protected by the copyright law. No reproduction without permission allowed.