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PixCell - Deer 40
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Year: 2015
Medium: Mixed media : Glass beads, taxidermy, aluminum
Dimensions: 134 x 56 x 72 cm (52 3/4 x 22 x 28 3/8 in.)
Acquired from Phillips, 2022
名和晃平という作家を最も世に知らしめている『PixCell』シリーズの鹿。数ある名和作品の中でも、鹿の作品こそがまさにシグニチャーと呼ぶにふさわしい人気と評価を得ている。NYのメトロポリタン美術館、メルボルンのヴィクトリア国立美術館など、国内外のインスティテュートがコレクションしている。日本において鹿は神使として聖視されてきた。名和による別の作品「White Deer」は神獣としての鹿の表象であることを作家が公言しており、また、メトロポリタン美術館の作品解説では「PixCell-Deer」と「春日鹿曼荼羅」の関連を指摘している。この点からビーズの役割を再考すると、日輪の円相でもあるのだと理解されよう。日輪とは転じて太陽の謂とされる神鏡でもあるのだから、鑑賞者はビーズ一つ一つが鏡として反射する自らの視線とも常に対峙させられる。無数の日輪の光によって鹿を覆い隠すビーズは人の世とそうでないものとを隔てる物理的境界であり、同時に精神的結界でもあるだろう。