Year: 2009
Medium: Acrylic and metallic paint on paper
Dimensions: 71 x 52 cm (28 x 20 1/2 in.)
Acquired from Sotheby's, 2022
2008年、ウクライナのPinchuk Art Centre(キーウ)において開催されたハーストの回顧展「Requiem」を記念して制作された作品。この展覧会では最初期の代表作である「A Thousand Years」やホルマリン漬けのサメ「Death Explained」などとともに、これら「スピン・ペインティング」の新作も数多く制作、発表された。スピニングマシーンに紙を取り付け(固定の際のピンホールが複数認められる)、回転する紙に絵の具を注ぎ込み、遠心力を利用して絵の具を放射上に展開させることで制作される。常に話題に事欠かない作家であるハーストだが、本作に先行して、プラチナとダイヤモンドでできた頭蓋骨(人骨から型取りをした)に本物の人の歯を埋め込んで制作した「For the Love of God」(2007)という倫理観を揺さぶる作品がある。当時約120億円の値段をつけたセンセーショナルな作品だ。死の象徴たる髑髏と、欲望と富、つまり激しい生の象徴でもあるダイヤ、そこに金額としての価値が渦巻く。ハースト作品だからこその、髑髏にまつわる死と富のイメージを、不適な笑みが表わしている。