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Untitled (Butterfly Spin Painting)
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Year: 2009
Medium: Acrylic and metallic paint on paper
Dimensions: 51.5 x 68.5 cm (20 3/8 x 27 in.)
Acquired from Sotheby's, 2022
2008年、ウクライナのPinchuk Art Centre(キーウ)において開催されたハーストの回顧展「Requiem」を記念して制作された作品。この展覧会では最初期の代表作である「A Thousand Years」やホルマリン漬けのサメ「Death Explained」などとともに、これら「スピン・ペインティング」の新作も数多く制作、発表された。スピニングマシーンに紙を取り付け(固定の際のピンホールが複数認められる)、回転する紙に絵の具を注ぎ込み、遠心力を利用して絵の具を放射上に展開させることで制作される。ハーストは特徴的なモチーフを各作品シリーズで転用していくことがある。昆虫標本をそのまま画面に埋め込んだ作品シリーズがあるが、虹や万華鏡を模した構図に蝶の羽を多数配した作品は、美しい色彩でカバーしながらも生々しい生と死を露悪的示す問題作だ。蝶はハーストにとって他にも繰り返し用いている髑髏やピルなどと同様に生と死を想起させるアレゴリーの一つであり、つまり、ヴァニタスとしても見ることができるだろう。