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謎の楽器を手に入れた / I Got a Mysterious Instrument
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Year: 2022
Medium: oil on wallpaper
Dimensions: 34.2 x 17.5 cm (13 1/2 x 6 7/8 in.)
Acquired from Tomio Koyama Gallery, 2022
ラフにカットした壁紙に描かれている。支持体がキャンバスでないことでドローイングと呼ぶことに違和感を覚えるほどに濃密な描画になっている。工藤にとってのドローイングとは線画という本来の意味よりも、即興的であったり、タブローの作品よりも簡潔な制作行為全般を意味するようだ。過去のインタビューでも、幼少の頃から路上やチラシの裏に絵を描く日常を過ごしていたことの延長にある、と述べている。今も子どもの頃と変わらないのだ、とも。本作ではトロンボーンに似た造形の管楽器を手にした少女が佇んでいる。謎の楽器と言うくらいだからきっと初めてそれを手にしているのだろう、楽器を握る所作もぎこちない。背景の青と緑の中でピンク色の衣服と黄色い楽器が浮き立って見える。どうやらこの楽器が音を鳴らすことはなさそうだが、薄めに溶いた油絵具の伸びやかな様子は、さらさら走る絵筆の心地よい音が聞こえてくるようだ。