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画家の肖像 (ペア) / Portrait of the artist (Pair)
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Year: 2021
Medium: oil, acrylic, canvas, wood
Dimensions: 190 x 165 x 25 cm (74 3/4 x 65 x 9 7/8 in.)
Acquired from ShugoArts, 2022
二重(ペア)になった木枠、絵筆を咥えてこちらをまっすぐに見返す馬。小林が「画家の肖像」と呼んで続けている自画像としての馬である。木枠を組み立てキャンバスを張ることは、本来なら下準備であって、絵画制作のプロセスの前段階である。しかし、小林は、それでは遅いのだと言わんばかりに、キャンバスを組み立てながら同時に絵も描き始めてしまう。小林の作品は絵が自立しているのである。アトリエの空間の中で小林の身体と、木枠、キャンバスそして絵具とが混ざり合い、一体となり、作家の分身としての肖像を生み出していくのである。木枠は単に絵を支えるだけの構造ではなく骨であり肉となる。キャンバスは皮となって骨肉を包み、そこへ流動する絵具が血脈のように絵画に命を巡らせる。「画家の肖像」とは単に絵に描いた似姿という簡単なものではなく、小林正人という作家そのものを産み直す行為であるだろう。