名和晃平 / KOHEI NAWA
PixCell - Mandarin Duck
Year: 2018
名和の代表的なシリーズ『PixCell』の一点。一羽のオシドリの剥製が無数のビーズに覆われている。通常ならば鑑賞価値が高いはずの美しい婚姻色の羽毛が、ビーズによって具には視認できない。ビーズは透明で、一つ一つは容易にその内側に視線を通すが、大小さまざまな大きさの粒(Cell)が体表を覆ってしまっているが故に「オシドリ」という一個体が粒子状の小さな単位(Pixel)の集合へと緩やかに分解されてしまう。まるで細胞の生まれ変わりを可視化するかのようだ。美しい姿が剥製として永続性を与えられ、なおかつ無数のビーズが堅牢にそれを守る構造になっている。しかし、それとは真逆に、視覚的には分解や崩壊を強く示唆し、鑑賞者の目をはぐらかし、拒絶するような手つきも感じさせる。そこにあることは明白であるにも関わらず、直接「オシドリ」に触れることはできず、鮮明に見ることすらも叶わない。
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