Year: 2022
Medium: oil, chrome, acid, dirt on canvas
Dimensions: 228.6 x 162.6 cm (113 5/8 x 64 in.)
Acquired from Kotaro Nukaga, 2022
作品タイトルと同名の東京初個展に出品された本作は、その一連の展示作品とはやや趣を異にするが、それゆえに最も象徴的な役割を与えられている。ホッドは同個展において、ファウンド・フォトのイメージを主題とした絵画作品を発表し、それらと同時に代表作とされるクロームの鏡面性が特徴的な「The Life We Left Behind」シリーズが並んだ。ファウンド・フォトという見知らぬ誰かが残した過去の現実を、絵画に置き換えることで現代に甦らせる。それは過去の亡霊に新しい息吹を与えることに等しい。写真とは現実の光景を光学的に保存する技術であると同時に、現実の似姿を鏡面的に写し出すものとしても捉えることができるだろう。本作は特に、当コレクションに所蔵されている「The Life We Left Behind」とあえて隣り合わせで配された。それは作家の意図するところであったことは疑いようがない。両者は合わせ鏡の関係にあるのである。物理的に事物を反射する「The Life We Left Behind」に対し、本作は見た目には何も照らし返すことはないまでも、その霊性を鮮やかに写しとっている。両者の色彩的近似、構図的対比、全ては精神的な相似形を成しており、写真的に言うならばネガティブ・ポジティブの対比関係にあることを明らかに示している。