Year: 2020
Medium: oil, oil stick, acrylic, gouache, modeling paste, pastel, ink, color powder, scenic lichen, sand, oil varnish, FRP, printed matter, film, cardboard, thin paper, packing paper, cotton cloth, cheesecloth, guitar string, wire, cotton yarn, marble, pebble, metal and wood on wooden panel
Dimensions: 100 x 70 x 12 cm (39 3/8 x 27 1/2 x 4 3/4 in.)
Acquired from TAKE NINAGAWA, 2022
かつて大竹が取り組んでいた「ビル景」を彷彿とさせる重層的かつ重厚な作品。コロナ禍において、あらためて自身と向き合いながら制作された「残景」シリーズの一点。夥しい色彩や素材が過剰に重ねられて暗褐色の濃密な塊となっている。画面を注視すると、布地や紙、砂や石、枝、ワイヤー状のもの、多種多様な質感や構造が重い画面の中で渾然一体となっている。大竹の言う記憶とは時間の積層と密接な意味を持っている。個々人の記憶が堆積して、時間はそれらを縦横に関連させながら貫いていく。時が経つと言うことはそれ相応の記憶の積層を経ているのであり、大竹はそれを絵画面における重層性に置き換えている。ただし、大竹は過剰にそれを表現しているのではない。仮に本作が過剰に凝縮されている印象を受けるとするならばそれは、わたしたちの記憶や時間こそが本来途方もない情報の集まりであるからである。本作を含む「残景」シリーズについて「記憶の最後に残る景色」と大竹自身が述べている通り、大竹はその膨大な堆積の結果を視覚化するという、常人には想像だにできない表現を試みている。