-
Untitled
-
Year: 2019
Medium: watercolor, marker on plaster, wood frame
Dimensions: 77 x 60.5 cm (30 1/4 x 23 7/8 in.)
Acquired from TAKE NINAGAWA, 2022
ジョージア現代美術シーンを代表する作家の一人。主にインスタレーション作品や彫刻的なアプローチで知られる作家だが、本作も絵画的である以上に彫刻的側面が際立っている。ジョルジャゼの得意とする素材の一つでもある石膏が、本作でも主素材として用いられている。温かみのある木材のフレームにずっしりと塗り込められた石膏に、多数の掻き取ったような跡が残されており、そこに明るいピンクと水色を基調とした水彩の透明感のある色彩が柔らかく重なっている。石膏に含み込ませるような絵具の使い方や、一般的な絵画であれば筆致や絵具の厚みによって作り出される隆起に該当すべき部分を陰刻するかのような画面へのアプローチはやはり彫刻的であると言わざるを得ないだろう。具体的なイメージを象徴するようなものは本作の中には存在せず、ただ作品の中に使われる素材そのものが形態を規定し、その形態の中において次第に立ち上がるイメージからインスピレーションを受けて次のアクションを導き出している様は、さながら言葉を編みながら新たなイメージを作り出す詩作のようでもある。それは彼女の彫刻作品やインスタレーションにおいて何の変哲もない日用的素材が恐ろしいまでの調和を作り出し、まるで未知の存在へと成り変わってしまうことと本質的には同じ行いであるはずだ。