Year: 2022
Medium: bed, linen, oil paint, turntable, record, guitar amplifier, timer
Dimensions: 210 x 126 x 102 cm (82 5/8 x 49 5/8 x 40 1/8 in.)
Acquired from Void+, 2022
ペインティングと呼ぶには有り余る質量。ジョン・レノンとオノ・ヨーコが行った「Bed-ins for Peace」という有名なパフォーマンスを題材にしている。水戸部が作る絵画は、モチーフとなる対象を文字通り手で掴み取りにいく行為である。描くという行為は一般的には絵筆(時に爆薬や足や拳などもあるが)などをもってして行うもので、さらに、絵画としての形態を尊重する作家ならばある程度の平面性を意識するものだ。しかし、本作において、平面性はもとよりベッドは横たわってすらいない。絵画らしさから大きく逸脱した状況で作品が提示されているにもかかわらず、それは明らかに何かを「描いたもの」だと理解される。画材が油彩であるからだけではない。モチーフとなる対象があり、それを真摯に描こうとした追求の結果、本作は自立するに至ったのである。オノやレノンと同時代のラウシェンバーグは「Flatbed picture plane(平台型絵画平面)」と評された。垂直に掛けられるものとしての絵画から逸脱することで、ラウシェンバーグは反・芸術として絵画を水平へ転回してみせた。水戸部は本作において、彼らの先行する革命的行為に対してさらなる反転を試みたのである。故に、本作は前近代からモダニスムを経て現代へと蘇る絵画の一つの在り方として捉えることができる。