ADRIAN GHENIE
エイドリアン・ゲーニー
1977年バヤ・マレ(RO)生まれ。2001年、the Art and Design University of Cluj-Napocaを修了。パレット・ナイフを使った具象性と抽象性が融合した作風が特徴的であり、現代のルーマニアを代表するペインターである。ヨーロッパの歴史に影を落とす戦争や暗い出来事、現代社会におけるさまざまな不安を背景とした絵画を描いている。強い筆触で流動的な2015年の第56回ヴェニス・ビエンナーレではルーマニア館代表作家として個展を開催、ダーウィンの自然選択説とナチスの優生思想を関連付ける一連の作品を発表した。近年ではスマートフォンやタブレット端末などを常時手に生活することで起きた現代人の体の姿勢の変化をバロック美術との関連性から対比分析してみせるなど、独自の美術史的解釈を加えた絵画を制作している。ポンピドゥーセンター(パリ)、ハマー美術館(ロサンゼルス)、ロサンゼルス現代美術館、サンフランシスコ近代美術館、龍美術館(上海)などの主要な美術館が作品を収蔵している。先述の第56回ヴェニス・ビエンナーレの他、エルミタージュ美術館(サンクト・ペテルブルグ)やパラッツォ・チーニ(ヴェニス)での個展など、国際的な活躍が続く。オークション等のマーケットでも人気を博する作家の一人として常に注目を集める。