TAKASHI MURAKAMI
村上隆
村上隆
1962年東京生まれ。日本の最高学府、東京藝術大学における日本画科初の博士号取得者である。戦後日本の現代美術動向として最重要視されている「スーパーフラット」セオリーを提唱。村上の作品制作と所属作家のマネジメントに特化したKaikai Kiki(有限会社カイカイキキ)を主宰し、ギャラリー運営やアートイベントGEISAIを成功させ、熱狂的なアート・コレクターでもある。もはやアーティストとしてだけではなく、グローバルに成功した現代美術業界指折りのパワーパーソンである。近年では国内外の主要な現代美術館や重要なプライベートコレクション等では村上の作品を必ず目にするといって良い。ロックフェラー・センター(NY)、カルティエ現代美術財団(パリ)、ロサンゼルス現代美術館、フランクフルト近代美術館、ビルバオ・グッゲンハイム美術館、ヴェルサイユ宮殿など、世界各地の重要美術館等での展覧会を成功させてきた。
-
Title: Bernini DOB: Carmine Pink and Black
Year: 2018
Medium: Acrylic on canvas mounted on aluminum
Dimensions: 141.6 × 120.3 cm (55 3/4 × 47 3/8 in.) -
Title: Our spot 1
Year: 2018
Medium: Acrylic on canvas mounted to aluminum
Dimensions: 100 x 100 cm (39 3/8 x 39 3/8 in.) -
Title: untitled
Year: 2016
Medium: assembled canvas on aluminum frame
Dimensions: 86 x 58.5 cm (33 7/8 x 23 in.)
-
Bernini DOB: Carmine Pink and Black
-
Year: 20182000年に提唱した「スーパーフラット」を日本から世界に通用する美術概念として確立し、名実ともに日本を代表する現代美術作家である村上隆と、ハイエンドストリートブランドのOff-Whiteを主宰し、早過ぎた晩年にはLuis Vuittonのクリエイティブディレクターを務めたヴァージル・アブローの両者によるコラボレーションワーク。アブローがOff-Whiteの2018年の秋冬コレクションで使用した17世紀イタリアの彫刻家Gian Lorenzo Berniniの自画像と、村上のキャラクターであるDOB君という、両極端とも言えるポートレートがミックスされている。2018年を通じてGagosian Galleryのロンドン、パリ、ロサンゼルスと立て続けに開催された二人の展覧会では本作に連なる『Bernini DOB』のさまざまなヴァリエーションが展観された。
Medium: Acrylic on canvas mounted on aluminum
Dimensions: 141.6 × 120.3 cm (55 3/4 × 47 3/8 in.)
Acquired from SBI Art Auction, 2022
展示会履歴
-
- 2022年 Art Collaboration Kyoto
https://a-c-k.jp/
- 2022年 Art Collaboration Kyoto
-
Our spot 1
-
Year: 2018アブローが主宰するブランドOff-Whiteのシンボルである白いクロス・アロー・ロゴが、村上が多用する髑髏のモチーフに大きく重なって描かれている。アブローと村上の親交は単にコラボレーションとしてだけではなく、お互いの信頼と友情とで固く結ばれていた。アブローは多くのインタビューで村上のことに触れ、建築業界のインターン時代から村上を敬愛していたことを口にしている。既にLouis Vuitonのコラボレーションアーティストであった村上に対して若いアブローが強く影響されていたことは明らかである。村上もまたアブローを心から分かり合える友人と思っていたのかもしれない。彼が自身の絵と他者の絵を拮抗させるのではなく、完全に融合させるような合作を許したアーティストは (ドラえもんを除くならば)アブローただ一人だけだ。
Medium: Acrylic on canvas mounted to aluminum
Dimensions: 100 x 100 cm (39 3/8 x 39 3/8 in.)
Acquired from PHILLIPS, 2022
-
untitled
-
Year: 2016村上のアイコニックなキャラクターでもあるフラワーがプリントされているキャンバスをパッチワークのように継ぎ接ぎをしている。村上のこれまでの作品ではスタジオの高い制作クオリティに担保された冷徹なまでに完璧な仕上げが一貫されているが、本作はどこか温かみのある揺らぎが感じられる作りになっている。細かい矩形に切り貼りされているそれぞれの端切れをよく見てみると、プリントのインクずれや色ムラ、塗料が剥がれていたり掠れや汚れも多く見られる。通常の村上作品では全くの失敗と言って良いこうした低品質のプロダクトを寄せ集め、手芸におけるパッチワークという形式を引用することで、絵でもプリントでもない別のカテゴリに属するタブローとして転生させている。作品全体の色調の整え方や手芸的手法の援用としてはバウハウスの作家アニ・アルバースの作品を彷彿とさせる。村上は常に先行する美術史に対して再定義と脱構築を繰り返し、その上に新たな美術の土台を作り上げてきた。本作では村上作品を特徴づける露悪的でさえある派手さは鳴りを潜めているが、しかしその一方で村上のもう一つの大きな特徴である美術史的文脈への鋭い視線を感じさせる。
Medium: assembled canvas on aluminum frame
Dimensions: 86 x 58.5 cm (33 7/8 x 23 in.)
Acquired from PERROTIN, 2022