PIUS FOX
ピウス・フォックス

Karnevals Auge
1983年ベルリン(DE)生まれ。2010年、ベルリン芸術大学修士課程を修了。大学ではフランク・バドゥールやピア・フライス(リヒターに学んだ)らに師事し、ドイツ現代美術における抽象表現の正中線を継いでいる。Foxの絵画は単純な構成要素を、極めて伝統的かつ基本的な手法によって操って作られている。しかし、余人をもって替え難い表現がそこにある。制作においては実際に目で見たものを題材として描くという。Foxの目を介してFoxがイメージしたものは、他者と同じではあり得ない。その当たり前のことを強く意識させる。物語や神話などのストーリーをイメージの着想としたり、ルネサンス絵画の直接的な引用なども時折行われる。そういう具体的なモチーフの取り方をすれば結果として、作品に表れているものが具象性を増すこともありえるだろう。実際、突如として具象的な作品を発表したりもするが、それは決して気の迷いではない。却ってFoxにとっての抽象化がどのようなものであるかをよく示している。何かと何かを結びつけていく過程の中で副産物的におそらく抽象化という現象が発生している。Foxの作品には重ねられた色彩や複雑に引かれた線が散見するが、一枚の作品の中においては画面の中に存在する性質を大まかに二項対立するものとして認識できることが多い。「作品を描く上で、描く対象のディティールなどよりも、対象とそれが存在する世界をつなげるものに」(Them magazineのインタビューより)目を向けると作家が述べている通りである。絵の直接的な題材となる対象物とそれを取り巻く世界の両方を抽象化するために、一枚の絵画のなかで相反する要素が重ね合わされているのである。アルバース財団(US)、Frac Auvergne (FR)、SØR Rusche財団(ドイツ)、フォンデルハイト美術館(ドイツ)、クンストパラスト美術館(ドイツ)などに作品が収蔵されている。ドイツ国内に限らず美術館個展、ギャラリー等での国際的な展示多数。