ULALA IMAI
今井麗

ギャザリング / Gathering
1982年神奈川県生まれ。2009年多摩美術大学大学院美術研究科博士課程満期退学。洋画家の父の影響もあり幼少から絵画に傾倒する。フィギュアを並べた情景を描く「Gathering」シリーズや、トーストやアボカド、ぬいぐるみの熊やコアラなどを題材に描く。描く対象の特徴を素早いストロークで的確に捉えるのが特徴的である。身近なものを丁寧に観察し、その本質を掴む鋭い目は、生来の難聴を補うべくして体得されたものかもしれない。今井が続けている「静物画」というものは書いて字の如く対象物は動きもしなければ対話も必要としないが、それ故に画家がそれをどのように認識したかを画面が雄弁に物語るものでもある。今井の作品は、精緻な写実ではなく簡略化された素朴な良さがあるが、それ以上に作家自身が対象物を慈しむ眼差しを感じさせる。それと対峙する時間を愛おしむのでなければ、たった一筆の中にここまで濃密に光や質感が表れようもないだろう。「project N 78 今井麗」(2020年、東京オペラシティ アートギャラリー) 、「Melody」(2021年、PARCO MUSEUME TOKYO)などの他、Nonaka-Hill(LA)やKarma(NY)などの気鋭の海外ギャラリーでの発表も相次ぐ。父は洋画家の今井信吾、夫は現代美術家の西村有。