BANKSY
バンクシー
生年不詳、本名不詳、90年代のNYあるいはブリストル(UK)において活動を始めたとされる。70年代以降音楽やアートの先進的発信地でもあったブリストルは、90年代には俗にトリップ・ホップと呼ばれた音楽シーンとも混ざり合いながら独特のアンダーグラウンドカルチャーが醸成されていた。ブリストルの多くのミュージシャンやアーティストらの間ではグラフィティ・ライターとしてのBANKSYの存在は早くから知られ、GOLDYやMassive Attackらとは近い関係にある人物だとされている。貧困、紛争、加速する資本主義、暴力、差別、それら人類が抱える問題を現代のカリカチュアとしてストリートに描き殴っていった。簡潔で写実性を伴った描画力はさることながら、絵に添えられるエピグラムや作品タイトルも、BANKSYの芸術性を高める要因となっている。ごく短い文章の中で、それを道すがら目にした人々の胸に、瞬間的に鋭い矢を突き刺していく。アートマーケットを弄するような姿勢も数多く見せ、中でも2021年10月のSotheby’s Londonで、落札された自身の作品がシュレッダーにかけられるギミックを仕込んでいたことは記憶にも新しい。